気分を決める靴
ゴルフ場に出かける日の朝、ウェアやバッグを用意しながら、ふと玄関で立ち止まることがあります。
「今日はどの靴で行こうか」――。
プレー中はもちろんゴルフシューズに履き替えます。
けれどもクラブハウスに向かうまでの足元は、TPOを考慮して選ぶもの。その選択が自分の気分を整え、人に与える印象を大きく左右します。
ゴルフはスポーツであると同時に社交の場。だからこそ靴選びは小さなようでいて、とても大切な要素です。
伝統あるゴルフ場ではドレスコードが厳格ですが、それはゴルフの歴史を守り、クラブの品格を維持し、会員や同伴者への礼儀を示すため。特にゲストとしてプレーさせてもらうのであれば、守るのは当然のことです。
「守らないといけない」と思うと窮屈に感じるかもしれません。ですが、むしろドレスアップの機会として前向きにとらえるといい。
自分の気持ちを高めてくれる最高の一足を履いて、ゴルフ場へ向かいたいものです。

ゴルフ場に履いていく靴の選択肢
では実際に、ゴルフ場に履いていく靴にはどんな選択肢があるのでしょうか。
スニーカー、ローファー、レザーシューズ――それぞれの特徴を整理してみます。
スニーカー
軽快で運転もしやすく、ラウンド後にリラックスできるのが魅力。
最近は高級感のあるスニーカーも多く、大抵のゴルフ場なら違和感はありません。
ただしクラブによっては、カジュアルすぎる印象を与えることも。
ローファー
脱ぎ履きがスムーズでクラシックな雰囲気はゴルフ場にぴったり。
ウェアとの相性も良く、程よい上品さを演出してくれます。
普段履きとしても活躍できる万能シューズです。
レザーシューズ(内羽根・外羽根)
フォーマルで存在感があり、特に格式高いクラブハウスでは最適。
足元から“きちんと感”を出せますが、固めの履き心地で移動が長いと疲れることも。

僕の選択:Alden 986(コードバン・ローファー)
色々試してきたなかで、僕がたどり着いたのは Alden 986。
アメリカントラッドを象徴するペニーローファーであり、コードバンの光沢がクラブハウスの空気感に見事に馴染む一足です。
- コードバンの艶が放つ上品さ
- ペニーローファー特有のクラシックさと脱ぎ履きのしやすさ
- 履き込むほどに現れる独特の皺と深み

この986、僕はハワイで購入しました。
ハネムーン中に立ち寄った店で出会い、その場で手に入れた一足です。
持ち帰ったときの高揚感はいまでも覚えていて、以来、ゴルフ場に向かう日は自然とこの靴を選んでしまいます。ただし、コードバンのため、雨に弱いので天気が怪しいときは絶対に履きません。笑
ハワイのレザーソウルというお店で購入したのですが、日本人の店員さんにとても親切丁寧に接客していただき、様々なタイプの革靴を試し履きしました。
実は、お店に伺った時点ではどのようなタイプの革靴を購入するかは決めていませんでしたが、1つだけ決めていたことがあります。
それは、「オールデンの8番」を購入すること。
「オールデンの8番」とは、オールデン社の伝統的なコードバンのカラー「#8」で、一般的にバーガンディ系の色合いのコードバン革のことです。ホーウィン社製のコードバンを用いたオールデンのシューズにおける定番カラーの一つです。
なので、試し履きさせていただいた靴はバーガンディだらけ。笑

この中から、一番下の986を購入することにしました。この時、オールデンの大定番990を購入したのも、良い思い出です。笑
986を履いてクルマを運転しゴルフ場に向かい、駐車場に車を停め、クラブハウスへと歩いていく瞬間。
コツコツと響く音を聞くと、不思議と背筋が伸びます。
そして、ラウンドを終えて再び986を履くと、一日のゴルフが綺麗に締まったような満足感があります。
そして、986を履いた後の、靴磨きの時間も僕にとっては至福のひととき。
頭を真っ白にし、ひたすら磨き上げていく、まさに至福です。

ファッションとゴルフ、その間にある楽しみ
ゴルフはただのスポーツではなく、ライフスタイルを映す鏡でもあります。
ウェアやバッグだけでなく、「ゴルフ場に履いていく靴」を意識することは、ファッションとゴルフの交差点と言えるのではないでしょうか。
その中で Alden 986 は、紳士のスポーツであるゴルフの精神を、足元から体現してくれる一足。
ゴルフとファッションを愛する人にとって、これほど心強い相棒はないと思います。




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