小野ゴルフ倶楽部探訪記|鴨池に造られた廣野の姉妹コース

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小野ゴルフ倶楽部に憧れて

兵庫県小野市に位置する「小野ゴルフ倶楽部」は、1961年(昭和36年)に開場した名門コースです。名匠・上田治の設計により、廣野ゴルフ倶楽部の姉妹コースとして誕生しました。

クラブを象徴するのが「鴨池」。その名の通り、かつては多くの鴨が飛来したと伝わる池で、今もコースの中心的な景観を形づくっています。この池にちなみ、倶楽部のシンボルには鴨が描かれており、ピンフラッグや案内表示、さらにはマーカーやロゴ入りゴルフボールに至るまで幅広く用いられています。訪れた人は必ずどこかでその姿を目にし、クラブのアイデンティティを印象づけられるでしょう。

鴨池を抱くコースは、静かな湖面と豊かな樹木に囲まれ、自然と調和した美しい風景を誇ります。造成にあたっては大規模な地形改変を避け、自然の起伏や樹木を最大限に活かすという設計思想が貫かれました。その結果、廣野に劣らぬ戦略性と難度を備え、訪れるプレーヤーを魅了し続けています。

小野ゴルフ倶楽部の基本情報と名門たる理由

  • 開場年:1961年
  • 設計者:上田治
  • トーナメント:日本オープン(1969)、関西オープン(2011)等

廣野譲りの厳格さに加え、自然景観を巧みに活かした戦略性が、小野ならではの魅力です。

プレー形態・予約スタイル

  • メンバー同伴プレー:会員と同伴することでラウンド可能
  • メンバーからの紹介プレー:紹介状を受け事前承認を経てラウンド可能
  • 競技会への参加:オープン競技やアマチュアトーナメントでの参加枠あり

希少性ゆえ、プレーできるだけでも特別な体験です。

今回、私は近畿オープンの予選に参加し小野ゴルフ倶楽部にお邪魔しました。

メモラビリティホール

小野ゴルフ倶楽部の18ホールは、鴨池と樹木に包まれた自然美と、緻密に計算された戦略性の両立が魅力です。ここでは特に印象的な7、8、9番ホールを紹介します。

7番ホール(パー4)|鴨池を挟んでのクラブハウスの景観

レギュラーティーからは340ヤードと距離の短いミドルホール。ティーショットは池越えとなりますが、それほど長くはなく、力む必要はありません。ただし、雄大な鴨池にショットが誘われるような感覚があり、思わぬプレッシャーを感じます。

右手には鴨池が広がり、ボートが気持ちよさそうに浮かんでいるのも印象的。ゴルフ場でボートを目にするのは珍しい体験でしたが、同じ兵庫県にあるマスターズゴルフ倶楽部ではクルーザーが浮いていたのを思い出しました。笑

池を挟んでクラブハウスを望むことができる、景観の良いホールです。

8番ホール(パー3)|何度でも挑戦したくなるホール

レギュラーティーから165ヤードのショートホール。池が視界に入りプレッシャーがかかるため、つい大きめのクラブを持ちたくなります。しかし、グリーン奥にはガードバンカーが待ち構えており、オーバーすると2打目は池に向かって打たなければならない厳しい状況に。

さらに、グリーン手前は短く刈り込まれていて、わずかにショートするとそのまま容赦なく池へと転がり落ちます。

池とバンカーに挟まれた絶妙な設計で、攻略できた時の喜びも、失敗した時の悔しさも大きく、何度でも挑戦したくなる印象的なショートホールです。

9番ホール(パー5)|全てのショットで鴨池を感じることができるホール

レギュラーティから520ヤードのロングホール。3打目までは右手に鴨池が広がり、常に水面の存在を感じながらのプレーとなります。特に3打目は池越えが必須で、2打目の位置によっては安全にレイアップせざるを得ません。

このホールには鴨池ならではのエピソードがあります。池にはバス釣りを楽しむ釣り人のボートが浮かんでおり、ティーショットが大きくスライスすると、思わぬ方向に飛んで釣り人の近くまで届いてしまうことも。もちろん「フォアー!」と叫んでも、釣り人にはゴルフ用語が伝わらないため、「危なーい!」と声をかけるプレーヤーもいるのだとか。

ゴルフ場でしか味わえない独特の緊張感とユーモアが混ざった、まさに鴨池らしい名物ホールです。ただし、池ポチャは避けたいところですね。

クラブハウス・施設レビュー

小野ゴルフ倶楽部のクラブハウスは、決して豪華絢爛ではありませんが、必要なものが必要な場所に収められた質実剛健の造りです。華美さを排したその佇まいからは、長い歴史と伝統に裏打ちされた威厳が感じられ、足を踏み入れると自然と背筋が伸びるような気持ちにさせられます。

名門コースですので、館内では帽子の着用やシャツの裾出しは戒められます。それも、このクラブが長年大切に守り続けてきた伝統と格式を尊重するためであり、訪れる者にその重みを実感させてくれます。

昼食・グルメレビュー

ハーフを終えたあとの30分休憩。そこでいただいたのは、スタッフの方におすすめいただいた「焼飯」です。

名門コースといえば「カレーが美味しい」という格言があります。実際、こちらでもカレーをいただこうかと思いましたが、今回はスタッフおすすめの焼飯をチョイス。

「焼飯」と「炒飯」という呼び方の違いについて調べてみると、明確な定義があるわけではないようです。一般的に、中華料理として提供される場合は「炒飯」、日本の食堂や家庭料理風の場合は「焼飯」と表記されることが多いとのこと。小野ゴルフ倶楽部でいただいたものは、まさに後者の“昔ながらの焼飯”という雰囲気で、懐かしさを感じる味わいでした。

ひと口食べるとスプーンが止まらなくなり、量もちょうどよく、後半のプレーに影響しない絶妙なボリューム感。小野ゴルフ倶楽部を訪れた際には、ぜひ試していただきたい一品です。

まとめ|小野ゴルフ倶楽部の魅力

  • 廣野譲りの格式
  • 鴨池に囲まれた自然景観と戦略性の融合
  • 上田治設計の地形活用
  • メンバー同伴・紹介・競技参加という希少性
  • 焼飯などコースでの食事も楽しみ
  • メモラビリティホール(7~9番)

歴史と自然、戦略性の三拍子が揃った小野ゴルフ倶楽部は、鴨池の穏やかさと名門の緊張感を同時に味わえる、特別なゴルフ場です。

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